もちもち日記

TEAM NACSと関ジャニ∞とKiS-My-Ft2

『アイ アム ア ヒーロー』

あらすじ

冴えないごく普通のおっさん鈴木英雄35歳。漫画家のアシスタントとして日々の生活を送りながら漫画家としての成功を夢見て奮闘するが、いつまでも結果を出さず待たされている恋人のてっこ(黒川徹子)は怒りが爆発。そんなある日、徹夜明けで仕事を終えた英雄が自宅のアパートに帰るとZQNと化して変わり果てた彼女の姿が…。一瞬にして英雄の平凡な日常は、世界は、崩壊してしまった。
英雄は、崩壊してしまった世界で生き残ることは出来るのか。




アイアムアヒーロー』見てきました。



この映画を見ての率直な感想は…

「R-15の意味知ってんのかこの野郎!!!!!!!」

です。



見ていて思わず笑っちゃいましたねぇ…(笑)
いやー、これはもうR18Gでも良いでしょうよ…。むしろそうした方がもっとエグく出来そうだし。
原作未読なものでして、原作がどの程度グロテスクなのかは存じませんが映画でこれ程なのですから原作はもっと凄まじいのでしょうね。今度漫喫で一気読みしてきたいと思います。

映画公開初日は土曜日だったせいか映画館は超満員だったようでいいスタートを切れたみたいですね。スタートダッシュは大事です。
TwitterのTLにも見に行ってきたという方がチラホラいらっしゃってその感想を読んでみるとどれも「一人で見に行くんじゃなかった」や「暗闇が怖い」や「夢に出てきそう…」などばかり。中には「主演が大泉洋だし、CMが割と普通だったから見に行ったのに騙された!」なんて言う方もいらっしゃってTLを眺めるのが大変面白かったです。
「そんだけ騒がれているのだったらすぐに行かねば!」と予定していた日より数日早い本日(4/25)行ってまいりました。月曜日の昼の回だったので思っていた以上に客席はガラガラだったので一番後ろの列のど真ん中の席にジャーマンポテトとジンジャエールを片手に陣取っていました。映画を見ながらゆっくり食べようと思ったのですがジャーマンポテトが美味しかったので予告の時点で全て食べ切ってしまい映画本編中はずっとジンジャエールを啜っておりました。
今となってはそれで正解だったのかもしれないと思います。だってあの映画は食い物食いながら見るもんじゃないです。私はグロテスクなものは割と大丈夫なので全然平気でしたが、たぶん普通の方なら気分を悪くされていたかもしれないですね。神経が図太くて良かったとこの時ばかりは思いましたね。

また前置きが長くなってしまいました…(笑)
今回もOOPARTSの時と同様にいくつかのキーワードに分けて感想を書いていきますのでよろしくお願いします。


①邦画の皮を被った洋画
大泉洋と鈴木英雄
③美しき女性たち
④視覚から嗅覚への刺激


この4つのキーワードを元に感想を書きていきます。



キーワード①『邦画の皮を被った洋画』

見ている間、ずっと感じていたのがこのキーワードでした。
日本の映画で、しかもジャンルがパニックホラー系でここまでのクオリティの物が撮れるだなんて思ってもいませんでした。既に海外の映画祭で高い評価を得ていて世界三大ファンタスティック映画祭を制覇しているだなんて…。最初聞いた時驚きましたね。
もう一度言います。日本の映画でこれほどのクオリティのものが出来るなんて!!!!(大声)
映像の撮り方とか、ゾンビの登場の仕方とかが日本のそれっぽさがなくてまるでアメリカの映画のよう。
ストーリーの流れとか、映像とか、全体的になんだか『ワールド・ウォーZ』っぽさを感じたのは私だけじゃないはず。
日本の映画でしかもこの手の映画で世界に通用するレベルのものを作り上げた監督及びスタッフ、出演者陣に拍手喝采です。



キーワード②『大泉洋と鈴木英雄』

今回大泉洋が演じた鈴木英雄という人物はどこにでもいる普通のおっさん。しかもかなりだらしない駄目人間。いつまでも夢だなんだと現実から目を背けて逃げてばかりだった男の、彼の世界が、一瞬で変わってしまう姿の演じ方がもうたまらなく素晴らしかった。
ほんの前日までは普通の平凡な日常を送っていたのに、一瞬で変わってしまった世界についていけなくて狼狽える姿の自然さ。頭で理解することもできずに言葉を詰まらせ口をパクパクと動かす姿はまさに“普通の人”なんです。当たり前だよね、そうなるよねという姿は誰しもが共感出来ると思います。
流石騙され慣れている大泉先生、狼狽える演技が上手い!というのは置いといて。
大泉さんってやっぱり映像の演技もお上手ですよね。元々演劇畑出身なのに演技が大きくない。場数が違いますねぇ。アカデミー賞取っているだけあります。

特に私が映画のなかでお気に入りのシーンは、英雄が初めて発砲する場面です。ZQNから仲間を守ろうと銃を構えた姿は彼の名前の通り“英雄(ヒーロー)”そのもの。
どこにでもいそうな普通のおっさんが“英雄(ヒーロー)”へと変わった瞬間のギラリと鈍く光るあの目に鳥肌が立ちました。まるで自分に銃口を向けられているような錯覚さえしてしまう程の気迫が画面から伝わってきました。あんな目をした大泉さん初めて見たので心臓がバクバクしましたね…。とてもかっこよかったです…!!!



キーワード③『美しき女性たち』

この映画の魅力の一つは美しく強い女性たちでしょう。
長澤まさみがZQNの頭かち割るシーンと有村架純がZQNを倒すシーンなんてもう、2次元かよ!と叫びたくなるくらい絵になっていてたまらなかったです。
戦力になる強い女性キャラが大好きなので今回この2人は私にはドンピシャでした。
欲を言えばもっと有村架純を暴れさせて欲しかった!
ZQNの群れを彼女一人で肉塊へと変えていき、それを止めることが出来ずに地獄絵図のような空間を声も出せずに怯えながら見ている大泉洋なんて最高じゃないですか!?!?!?!?
続きがありそうな終わり方だったからもしも次回あればお願いします…!!!


キーワード④『視覚からの刺激』

ラストの方は襲ってくるZQNを撃ってはまた撃っての繰り返し。画面の隅から隅までギュウギュウに重なって落ちている肉塊たちの中心で銃を構える英雄。
弾が放たれる度に赤黒く濁った血液はまるで噴水のように流れ出し文字通り当たりは“血の海”です。
血が吹き出る度に鉄臭い匂いが鼻の奥を刺すような、口の中に鉄の味が広がるような、そんな気すらしてしまいました。それ程までに視覚からの情報量が凄い。
目を覆いたくなるような惨劇なのに私の頭には“決して目を逸らすな”と響いてきて、目を逸らすことが出来ませんでした。あの映像の力強さ…思い出すだけで心拍数が上がります。
あれは映画館で見なきゃ損ですね。映画館の大画面だからこそ感じられる力強さ。クラクラするくらいが見終わった後とても心地よいです。
この映画で心地よいもクソもありませんけど…(笑)






駆け足で書きたいところだけババーッと感想書いてしまいましたが全体的にこの映画はとっっっっっても面白かったです。
グロテスクな映像に耐性がある方はぜひ見て頂きたいですね。
そして、俳優大泉洋の新たな1面が見られるこの映画は素晴らしい!!
この映画でまた次のアカデミー賞ブルーリボン賞を取るんじゃないかなぁ…?なんて思ってしまったり。

あともう2、3回は見ると思いますのでそしたらまた思い付いたら書くかもしれません。
はーーーー…映画最高です……

『俳優 亀岡拓次』


1月30日、ユナイテッドシネマ豊洲にて初日舞台挨拶、参加。
Twitterに上げていた感想にちょこっと付け足して再掲でございます。



あらすじ
俳優の亀岡拓次(安田顕)は37歳の独身。次から次へと現場を渡り歩いては小さな役をこつこつと演じていき、スタッフからの信頼は厚い。彼に回ってくるのは主役ではなく脇役ばかりではあるものの、極力不平不満を口に出さず、撮影現場と酒場を行き来する地味な毎日を過ごしていた。ある夜、ロケのために訪れた長野県諏訪市で立ち寄った居酒屋『ムロタ』で若女将の安曇(麻生久美子)に恋をしてしまう。しかし亀岡は撮影のため都内から地方まで方々に飛ぶ上に、初めての舞台の仕事が入り劇団『陽光座』の稽古場にも通う日々。そんな中、極秘来日した世界のアラン・スペッソ監督の新作オーディションを受けるというチャンスが舞い込み、亀岡は憧れの監督の前で懸命に熱演する。ある時、脇役仲間の宇野(宇野祥平)に恋をしているかふと尋ねたところ、てっきり自分と同じく独り身だと思っていた彼が結婚していたことを知り、亀岡の心に火が付いた。亀岡は花束を手に安曇のいる『ムロタ』に向かってバイクを走らせる――。
出典:http://movie.walkerplus.com/mv58739/








正直に申しますと『俳優 亀岡拓次』は万人受けはしないと思います。
話に特別な山がある訳でもなく、大きなオチがある訳でもありません。何かを訴えかけるものでもありません。
この映画は、たまたま職業が俳優である“亀岡拓次”という1人の中年男性の平凡な日常の一部を切り取った映画です。
この映画を安田さんのファンでも、麻生さんのファンでも、横浜監督のファンでもない方におすすめ出来るかと聞かれたら私は「気になるんだったら見れば?」くらいにしか言えません。
逆を言えばファンの方にならぜひ見て欲しいと言えます。特に安田さんのファンの方。安田顕の全てを堪能出来るといっても過言ではありません。
あと見て欲しい方としたら、強いといえば「お酒と色っぽい女性が好きな中年男性」にならば是非ともおすすめしたい。
この映画は出てくる女性が本当に色っぽい。
麻生さんがお猪口で熱燗を煽る場面、三田さんが亀岡と話している場面…。これはたまらん大人の色気。画面越しで圧倒されました。
ただお酒を飲んでいるだけなのに、話しているだけなのに、あれほどまでの色気を感じさせる姿は男性必見ですね。あの色気を表現出来るお2人も素晴らしいのですが、それを映像におさめてしまう技術も素晴らしい。

映像の撮り方も面白い映画でしたね。
印象に残ったシーンですと、ロケバスで亀岡が運転手と話しているシーンがあったのですがその時に亀岡をちゃんと映さなかったんです。その感じがまた亀岡拓次っぽさが出ていて私は好きな場面の一つです。たぶんここは映画を見て頂ければ私の言わんとする事が伝わると思います。
なんというか、全体的に見ると古いフランス映画のような印象を受けました。
そして、印象に残ったシーンで欠かせないのが亀岡がアラン・スペッソ監督の映画のオーディションを受けるシーン。
淡々と読み上げられるト書きに沿って演技をする亀岡の姿に鳥肌が立ちました。
いつもぼんやりと撮影現場と居酒屋を行き来している彼の姿からは想像も出来ない演技への執念。やっぱり彼は役者としての野心は心の中にしっかりと秘めていますね。オーディションが終わり、演技の余韻に浸っている姿。その顔に浮かぶ恍惚とした表情にどこか色気を感じました。
貴方今までそれどこに隠していたのよと言いたくなりましたね。もう心臓バクバクです。

色々な所で観た方の感想がありまして、それを読んでみると書かれているのは「見終わるとお酒が飲みたくなる」というのが多くあります。私も、正にその通りだと思います。しかも飲みたくなるのは熱燗。辛口のお酒なんか良いですね。もしくは芋臭い焼酎のお湯割りなんかもたまりません。
何故お酒が飲みたくなるのか。私が思うに理由の一つとして挙げられるのは、というより最大の理由はズバリ安田さんの演技。
美味そうに飲まれるんですよねぇ。舐めるようにという表現がピッタリでした。
要は酒好きのおっさんの飲み方です。とにかく美味そう。あの飲み方は亀岡拓次という人物そのものを表していると感じました。
やはり、改めて考えてみると亀岡拓次という人物はどこにでもいる普通のおっちゃんなんですよね。そのおっちゃんがなんだか愛おしく感じてしまうのだから不思議でおかしくなりますねぇ。

物語りの中で麻生さんが演じる安曇が手伝う居酒屋にて、亀岡に地元の名物である寒天をサービスする場面があります。寒天はその後もちょこちょこ出てきます。
だからといって物語りのキーパーソンであるかと問われれば、そうかもしれないし、そうでないかもしれない。そんな存在のものがあります。
この映画はそんな寒天のようなものだと思います。
寒天。おかずにも出来るしおつまみにも出来ればスイーツにも出来る。色んな顔を持っていて、食べる人によって姿を変える。柔らかいようで歯応えがある。そして、好きな人は好き。そんな不思議な食べ物、寒天。
この『俳優 亀岡拓次』という映画もそうだと思います。


これだけ映画の事を褒めて褒めて褒めちぎっておりますが、この映画に続編が出来るとすれば私は全力で反対します。むしろ、これの続編を作って欲しいと思う人はいますか?
もしも続編が出来たらコケる。99%コケる。
だってこの物語は完結したじゃないですか。あの終わり方を超えるものは無理でしょう。きっと横浜監督も続きを作るのは望んでいないのではないでしょうかねぇ。
物語は完結したのに、私たち観ている側の心の中ではいつまでも続いているような余韻を残したあの終わり方。私的には気持ちが良かったです。


映画のあと、何気なくドラマを観た時や映画を見た時、ふと画面の端に彼がいないかを探している自分がいました。私の好きなあの映画、あのドラマに、もしかしたら彼がいるかもしれない。いる訳がないのに無意識に探してしまうんだから、彼はその位自然に私の中に存在しているんです。
素敵な作品が生まれ続ける限り、亀岡拓次は今日も撮影現場と居酒屋を愛車に乗って行き来しています。
もしかしたら私が帰りに寄ろうとした居酒屋の暖簾の奥にちょこんと座ってお酒を飲む彼がいるのかもしれない。そんな事を考えると楽しいですね。

OOPARTS Vol.3「HAUNTED HOUSE」

2月12日OOPARTS Vol.3「HAUNTED HOUSE」
東京初日舞台、観劇。


※以下、盛大なるネタバレだけではなく私の独断と偏見のオンパレードとなっております。
一応の注意喚起はしましたので、スクロールするのは皆様次第でございます。





あらすじ
ひなびた温泉街にある、経営の傾いたお化け屋敷で苦境から脱する打開策もないままに日々働くフランケンシュタインの社長、正社員のドラキュラほか従業員たち。そこへ一人の少女がやってきて、ここで働きたいと言い出し、様々な改革のアイディアを提案する。従業員たちも彼女に乗せられる格好で再建に立ち上がるのだが……。


登場人物
・お岩さん(渡辺いっけい)
昔ミュージシャンを目指していた。私服がロックンロール全開。熱血で空気が読めない。契約社員だったがの最後には正社員になる。

フランケンシュタイン(森崎博之)
お化け屋敷の経営者。社長。お化け屋敷の経営者なのに怖がり。
祖父はガダルカナル戦線にて徴兵で駆り出された際に片脚を失った。日本に帰り働く場所を失った仲間たちと共に世の中に対する恨みを抱えてお化け屋敷を始める。そのお化け屋敷を継ぎ、再建を目指し奮闘。

・ドラキュラ(鈴井貴之)
副社長。恐妻家。小心者でヒステリックな一面を持つ。あまり頭がよろしくない。キャラクターとしては1番シンプルな設定。

・ろくろっ首(上地春奈)
ネガティブ思考で孤独。恋人(傍から見たらヒモ)を殺した過去がある。その恋人にあっちの世界へ行って欲しくなくてずっと“恨んでいて”欲しいと願っている。

・ゾンビ(多田直人)
最初はキレやすい今時の若者。先天性の難病で小学校に通うことも出来ず、生きている間は殆ど意識不明だった。希望の無いこの世が“恨めしく”てあっちの世界に行けなかったがお化け屋敷で働いているうちに希望を見出してあっちの世界へ旅立った。

キョンシー(田島ゆみか)
根は真面目ないい子。有り得ない言い間違いばかりをする。横断歩道を渡る際に酒気帯び運転の車が突っ込んできて死んでしまった。ゾンビ同様に希望の無いこの世を恨んでいたが、働いているうちに恨めしい気持ちが消えてあっちの世界へ旅立って行った。

・落ち武者(藤村忠寿)
壇ノ浦で平家側で戦い、戦で負け主君と共に海に身を投げた。その後何百年という時をさ迷い続ける。ガダルカナル戦線へ行った際に社長の祖父が落ち武者を庇い片脚を失う。恩を返したいが為にお化け屋敷で働いていた。最後はあっちの世界へと旅立つ。

・鹿島玲子(清水由紀)
お化け屋敷に突然現れ働かしてくれと社長を説得。子供の姿をしているが時折垣間見える大人びた発言に一同は不思議がっていたがその正体は社長の死んだ祖母。社長へはっぱをかける為に現れた。



OOPARTS Vol.3「HAUNTED HOUSE」
観て参りました。
いやはや、なんと言いますか期待に答えられて裏切られた、とでも言えば良いのか…。遊び心満載の不思議な不思議な舞台です。
この舞台について語る上で私なりにいくつかのキーワードが思い浮かびました。それに沿って感想を連ねていきますのでどうぞよろしくお願い致します。

キーワード
①作品性<“楽しんでもらう”舞台
②舞台セット
③物語りとしての「HAUNTED HOUSE」
④生きている人間が一番怖い



以上、4つのキーワードを元に感想を書いていきます。前置きが長くなりましたね。では、そろそろ本編へ。








18時20分、予定より10分早く開場。2列に並び、チケットを確認されて続々と会場へと進んで行きました。
そこですぐに目に入ったのが物販コーナー。小さめで、係の人も少ないので予めに買いたい物を決めておいた方がスムーズに買えます。私は最初の方で買えたから良かったのですが結構並んでいて10~15分程度待つ方もいたそうです。別にここで買えなくても終演後にも物販コーナーはやっています。買うならお帰りの際で。
それよりも早めに席に着いているのがお勧めです。
何故なら、客席に来るんです。出演キャスト陣が。
森崎さん以外のキャスト陣が、上映5~10分前くらいから客席をウロチョロします。なので皆様ぜひお席に着いてお待ちください。



キーワード①『作品性<“楽しんでもらう”舞台』



上演前から客席をウロチョロし始めた鈴井さん(もちろん衣装を身に纏っています)。ウロチョロしながら「ドラキュラだぞぉ」と客に言いながら歩き回っていて、おまけにその後ろをハンディカムを持ったスタッフさんがピッタリとくっついて歩いていました。
鈴井さんがウロチョロしてて、それにばかり気を取られていたら客席のあっち側にはキョンシーが、今度はそっちにろくろっ首…ああ、お岩さんと落ち武者まで!お化けたちが会場を歩き回るせいで何が何やら。当のお化けたちは怖がらせているつもりですが聞こえるのは笑い声ばかり(ちなみに落ち武者(藤村さん)が出てきた時に一番の歓声が上がりました)。
私も他のお客さんと共に笑ったり、「ミスター!」と大きな声で呼んでみたりとしていました。
「上演前だっていうのに客席に降りてきて、サービス満点だなぁ」と呑気に思っていました。
が。ここで違和感を感じました。
上演前のサービスにしてはどこか変なんです。サービスでやってるならもっと客席の人と絡んで良さそうなのに、何がか不自然。何が引っかかる。
引っかかったものをそのままにして、すると森崎さんが声で場内のアナウンスが流れました。変な声の出し方をしていたせいか噎せていて、そこでも笑いを取ってしまう森崎さんは流石です。
で、ようやく舞台が始まりました。
暗転し、明かりが付き、舞台セットの全てが見えてワクワク感も高まります。
そこで第一声、ドラキュラ(鈴井貴之)。
「だからお化けが笑いものになってどうすんだよ。お客を怖がらせてナンボだろうが」
この言葉にハッとしました。
ああ、そうか…私たちは“お客”なんだ、と。
上演前のサービスかと思いきや、それも含めて舞台の1部だったのかと気が付いて「鈴井貴之にしてやられた!」と思いましたね。正直悔しかったです(笑)
だけど気持ちのいい裏切られ方でした。客席を巻き込んで、全てを舞台にしてしまうなんて…。
ちなみにこれ、物語の中盤でもあります。お化けたちが宣伝用のフライヤーを配りに客席にまた降りて来るんです。私もなんとか落ち武者からゲットしました。裏に当たりの印があると素敵なプレゼントが貰えるようなので皆様頑張って手に入れてください。余談でした。話を戻します。
パンフレットで鈴井さんは「今回、一番に考えたのは、僕自身の思考、作品性ではなく、どんな舞台を作れば観客の皆さんが楽しんで頂けるか。それを常に考え脚本を書き、演出プランを練り、稽古に臨みました。」と話しています。
今回の舞台はとにかく観客を楽しませたい、気持ちよく帰ってもらうにはどうしたらいいのかという心持ちで臨んでいたようです。それだけであればこれは完全に鈴井貴之の思惑通りです。観劇しにきたつもりがいつの間にやらお化け屋敷にお客として連れて行かれてたなんて、まさに“楽しんでもらう”舞台でした。



キーワード②『舞台セット』



前回はシーソー。今回はネット。またしても面白いセットを作ってしまった鈴井ワールド。見た目のインパクトは確かにあります。
このネットを使った舞台に関しては鈴井さんがご自身のTwitter(2016年2月2日)で1番に情報を解禁していましたね。私はネタバレwelcomeな人間ですが、今回ばかりは知らなければ良かったと思いましたね。
先に形を見てしまったせいで私の頭の中で「こんな風に使うのかな?それともこうかな?」と勝手な想像が膨らんでしまい、些か物足りなくなってしまいました。
こればかりは言わないで、観た人の口伝えで噂が広がっていった方が良かったのではないかと…。たぶんその方が想像も制限されますし。口伝えで広がっていく“演出”でも良かったのではないでしょうか。
しかしながらこのネット使った演出、これは動きが予測出来ません。たぶんどの公演も同じ動きをするのは不可能では無いでしょうか。それを見越してTwitterに画像をあげたのかなぁ…。
「仕掛けを知られたからといってこの舞台がつまらなくなるわけが無い」という自信と「さぁ、見せてしまったぞ。ハードルあげちゃったなぁ」という自分を追い詰める二つの側面を感じました。
私は今回席が17列25番の上手寄りだったのですが、この席は私的にはかなりの良席でした。せっかく生で役者を見るのだから近くで見たい気持ちも分かります。しかし、今回の舞台に至っては真ん中より少し後ろの席をお勧めします。舞台セットがよく見えるんです。全体的に広く見渡せるお陰で端から端まで見えるのは面白い。気にする余裕があるのならば席に座るお客さんも舞台の一つとして捉えて見てみるのも良いかもしれません。



キーワード③『物語りとしての「HAUNTED HOUSE」』



ド直球に申し上げますと、この舞台は物語りを楽しもうと思って観ない方がいいです。アトラクションに参加するような感覚で観るのが1番楽しめると思います。私はそれで後悔しましたね。下手に難しく考えてしまったお陰で観ていて疲れました。終始、鈴井さんの事だからなんか裏があるんじゃねーかと疑って観ていたせいでございます。この舞台は身構えずに頭を空っぽにしてご覧ください。それが出来ないのであれば、頭をフル回転させて物語の全ての裏をかいていくくらいの心持ちでご覧ください。どちらでも全力で楽しめます。…うーん、矛盾してますね(笑)
そんな訳で物語りについてですが、この物語は至極単純。物凄い簡潔に表すならば「せっかく働くんだからそれに生き甲斐(希望)を見出そうぜ!」くらいに捉えればいいと思います。
雑誌のインタビューで鈴井さんは以下のように述べていました。
「今の時代は色々な問題を抱えすぎていて、考えることも多くて…。それを“演劇”というような娯楽の中にまで組み込んで、さらに考えさせる必要があるのだろうか?と思うようになったんです」
「みんなが笑えるものを目標にしたかったんですよ。“楽しさ”を追求できたらいいと思ったんです」
(どちらもfabulous act Vol.5より抜粋)
あの鈴井貴之がこんな思いで舞台を作っていたことに衝撃を受けました。作り手の伝えたいものを観客に押し付けるものではなく、それよりもどうやって観客を楽しませるかに力を入れていただなんて…。正直、昔の彼からは想像がつきません。
歳を重ねる毎に視野が広がって、要らない角が削ぎ落とされてより味のある人間性を作り出していく彼の面白さを改めて感じました。演技にもそれが出ていましたね。個人的な意見ですが、鈴井さんの演技ってとても華があると思います。
ドラバラでもなんでもいいです。試験に出る日本史でもいいです。彼の若い頃の演技を1度でも観たことがある人になら私の言わんことが伝わるでしょう。1度画面に映ればその場にいる誰よりも華があって、圧倒的な存在感を放つ。たまりませんね、演じている時の彼のギラギラした目付き。
そんな彼が、この舞台では華が無かったんです。どんな役を演じていてもどこかにギラついたものを隠していたのに、それを感じとれなかったんです。
流石ですねぇ。観ている時に何度も感嘆の溜息を漏らしたことか…。あの演技が観られただでも大満足です。
また話が脱線しましたね。いかんいかん。
見終わって直後は、物語のオチにいまいちスッキリとしませんでした。ヌルッと始まりいつの間にか終わってしまったような感じが物足りず…。なんかモヤモヤが残る不完全燃焼な感じを引き摺ったまま家に帰り、少し落ち着いてから買ってきたパンフレットと台本に手を取りました。台本を開いて一ページ目、1枚の紙が挟まっています。『この本を読んで頂くにあたって』と書かれたそれを読んでまた「してやられた」と思いました。何から何まで楽しませようとする彼の姿勢に感服です。
「舞台は生もの」
その言葉の真意をどう受け止めるかはその人次第でございますが、私はこの言葉でこの物語のオチが私の中で消化されました。何から何まで鈴井貴之に振り回されてしまいましたね。悔しいが楽しい!
しかしまぁ…本編と台本じゃオチが全然違う。今後の舞台でどうなって行くのかが楽しみです。
どうせDVDも出るだろうからその時にはどんな物語が収録されるのか…。舞台が終わってからも楽しめるだなんて、気が抜けません。




キーワード④『生きている人間が一番怖い』



物語りの隙間隙間に登場人物が自ら自分が“人間”であるかどうかを匂わせています。落ち武者に至っては割と初めの方から「ああ、こいつはホンモノなんだ」とすぐに気が付きましたね。どのくらいの人が初めの方で気が付いたんだろう。
鹿島玲子は登場した時から「あー、これホンモノだな」とすぐに分かると思います。
ゾンビとキョンシーはわかりやすく言い切っていたのでまたこれも分かりやすい。
だけど、ただ一つ最後まで分からなかったのがろくろっ首でした。
最初に「こいつはどっちだ?」と思ったのは第6場でゾンビとキョンシーが自分たちがどうやって死んだかを話す場面があるんです。そこでろくろっ首は自分の暗い過去を話します。付き合っていた恋人の話を聞いた2人は「騙されてるんだ」、「貢がされていただけだ」とろくろっ首に指摘しますが彼女はそうとは思っていません。
「彼は本当に優しい人でした。私にお金をねだっていたけど、それは本当は私のために使ってて、私に何かあったらと保険をかけていてくれたんです」
そう語る彼女の姿は幸せそうで、とても悲しいものでした。
キョンシーとゾンビはろくろっ首が死んでいると思っています。だけどろくろっ首は死んでいないと言います。私はここで「彼女は愛した人に殺されて、死んだことに気が付いていないのか」と思いました。
ゾンビが言います。「じゃあ、恋の結末はどうなったの?」
ろくろっ首は答えます。「結末なんてありません。私は今も彼を想っているから、私の恋は終わってないんです」
上地さんのあの演技にゾワリと背筋が冷たくなるような感覚がしました。いやー、恐れ入りました。
そして彼女が人間かどうかが有耶無耶なままで物語は進んでいくのですが、物語りのミソになる“生きている人間が一番怖い”というこの言葉が後々効いてくるとは…。
最後の最後で明かされました。
死んだのは彼女ではなく、彼女の恋人。彼女は愛した人を自らの手で殺しました。愛しているからこそ、ずっと一緒にいたいから殺した。その罪悪感を彼女はずっと抱えて生きていくのでしょう。これから先も。だけど許して欲しいとは思っていません。何故なら許してくれたら恋人は“あっちの世界”へ旅立ってしまうから。
これこそが彼女がこのお化け屋敷で働く理由なのです。
この世を恨む人ならざるものを引き寄せるこのお化け屋敷に現れる恋人に会うために、彼女は今日も首を長くして待っています。
正しく“生きている人間が一番怖い”。
コメディー色を全面に出した舞台なのにセリフの端々に垣間見える不気味さがその言葉の意味を表しているのだと思います。
ですが鈴井さん…あなたインタビューでこう言ってましたよね?
「今の時代は色々な問題を抱えすぎていて、考えることも多くて…。それを“演劇”というような娯楽の中にまで組み込んで、さらに考えさせる必要があるのだろうか?と思うようになったんです」
ばっちり考えさせられましたよ畜生!素直にこの人の言葉を鵜呑みにするんじゃなかった…。また「してやられた!」と思いましたよ…。
しかしまあ、『生きている人間が一番怖い』というのはその通りだと思います。そういえば日本のホラー映画だとこの手のオチが多いですよね。
ただのコメディーだけでは終わらせないところが鈴井貴之らしいといいますか、なんといいますか…。
作品性よりも楽しませる舞台を作ったという癖、作品性も素晴らしい。やっぱり流石だなぁ。





4つのキーワードを元に感想を書き連ねてきましたが、正直まだまだ書き足りません。
ですが、これ以上だと長過ぎるしいつまで経っても終わりが見えません。なのでここまでで一区切りとさせて頂きます。
もしかしたらまたちょろっと何か書くかもしれません。
尻切れトンボのようになってしまい申し訳ありません。
私がこの舞台を観て何が言いたいかといいますと…
鈴井貴之の掌の上で転がされていた」ということです。
悔しさと嬉しさが混ざってなんとも言えない心地良さ…嫌いじゃない…。

ブログを開設するにあたって。

初めまして、きなこもちと申します。
もしかしたら初めましてではなない方もいらっしゃるかもしれませんが様式美という事でご容赦ください。

この度こちらでブログを開設させて頂きました。
なのでまずは私の自己紹介的なものとブログ開設の経緯のようなものをお話させて頂きます。
こちらを読んで頂ければこのブログの管理者がどんな人間かがよく分かると思います。こちらを読んでから、これからこのブログを贔屓にするか判断して貰えれば幸いです。



ではまずは私のプロフィールからご紹介させて頂きます。

名前:きなこもち
誕生日:7月22日
血液型:B型
出身地:宮城県の田舎
職業:看護学

好きな食べもの:納豆、キムチ、餃子、餅(特に納豆餅とずんだ餅)、松前漬け、明太子、とびっこ、烏賊の刺し身、たこ焼き、大根、etc…。

好きなもの:ドラマ、映画、舞台、本、漫画、アニメ、温泉、etc…。

好きな作品:水曜どうでしょう木更津キャッツアイタイガー&ドラゴンパッチギ!!、クローズZERO、クローズZEROII、帯をギュッ!とね、め組の大吾有閑倶楽部羅川真里茂作品、吉田秋生作品、川原泉作品、高橋ヒロシ作品、etc…。

好きな人たち:関ジャニ∞(青色eighter)、Kis−My−Ft2(y担)、TEAM NACS(国民よりの子NACS)、オフィスキューCUE所属タレント、etc…。

その他:お酒、煙草、パチンコを嗜む程度に。



ざっと書き連ねてみましたが、まあ…至って普通の輩でございます。特別な事は何もございません。
そんな私が今回、ブログを開設する理由も至って普通。
元々Twitterにて舞台の感想だったり、ドラマの感想だったりを散々ぱら書いていました。しかしながらTwitterには些か面倒くさい輩も存在する訳です。
やれ「ネタバレは止めてください」だ、やれ「見れない人の気持ちを考えてください」だとか言う輩が大勢いらっしゃいます。
こちらとしたら知らんがな、ですね。
こちとら正規の日程で、正規のお金を払って見てんだ。なんの文句を付けられる言われはねぇ、と思いますよ。
今回も実はこれを書いています本日はOOPARTS Vol.3「HAUNTED HOUSE」を観劇しに行きます。というが来ています。
東京初日でようやく生で拝める舞台なのでとても楽しみにしています。
必然と感想も言いたくなってしまう訳でして、今回もTwitterに投下しようと思っていたのです。
ネタバレ嫌い?そんなもの知るか。Twitterにはブロック、ミュート、便利な機能が付いているだろと。
私はそう言いたい。

しかしながら1つ問題が生じました。
140字区切りで感想を書くのが滅茶苦茶面倒くさいのです。今までこの問題とは散々戦って来ましたが未だに勝てていません。
なので、仕方なしにブログを開設した次第でございます。
簡単でシンプルなブログサイトでやりたいと探していたらこちらのはてなさんに辿り着きました。難しい機能が少ないのは大変ありがたいです。

そんな訳でして、ブログを開設しました。
こんな奴のダラダラと書き連ねているつまらないブログでよろしければ贔屓にして頂けますとこれ幸い。


では、始まりますのでこれにて。
また後でお会い出来ましたら。